La fabrique du crétin (白痴製造工場)という本を読んだ。数ヶ月前に出た本だがフランス教育システムがなぜ機能しないのかがわかりやすく書いてある。学齢の子供をフランスで育てている親としては非常に考えさせられた。
著者Jean-Paul Brighelliはフランス語教師で、教育現場だけでなく教科書やワークブック製作にもかかわった経験をもつ人だ。
現在のフランス社会では出身社会層によって学歴の高低に明らかに違いが現れている。なぜそうなのか以前から不思議に思っていた。なぜなら現在の政治家や大企業の社長らは必ずしもパリの裕福な家庭出身者ばかりではない。もちろん彼らの多くの最終学歴はフランス有数の有名校であるが出身階級や地方はさまざまだ。
ところが次の世代になると様相が変わる。有名校の学生はパリ在住の裕福な階級出身者が圧倒的多数なのだ。
その答えがこの本に書いてあった。昔のフランスの公立学校で全国で同じ質、しかも現在の教育より数段高度な基礎教育を行っていたためなのだ。つまり高級住宅地の学校でも超田舎でも、労働者階級ばかりの学校でも同じ教材、同じようにたくさんの宿題が出る厳しい教育がされていた。
脱落者の数はもちろん多かった。が、脱落といっても「高等教育」から脱落しただけで、公立の小学校を終えただけでも社会では十分やっていけるだけの読み書き計算能力がしっかりついていた。つまり、きっかけさえあれば後に自学自習で知識や能力を高められるスキルが与えられていた。小学校しか出ていない社長などが出るのもその結果である。
翻って今日ではどうか。小学校で「脱落」した人は読み書き計算すら習得していない本当の脱落者となっている。
その他に、現在のフランス教育カリキュラムは大昔の奴隷を対象にしたものと同じ、つまり奴隷=知的程度が低い=それなりのものを与えておけばよい=知的程度が低い奴隷ができあがり=支配しやすい、という図式がぴったりあてはまる、という説明にはびっくりした。この図式はZEPつまり先日暴動事件で脚光をあびた郊外の恵まれない地域の特別扱い方針にもぴったりだ。つまりZEP=移民や貧乏人多し=どうせ知能が低いでしょ=簡単でおもしろそうなものを多量に与えよう、という発想だ。著者はこのような地域で教鞭を取ったこともあるのだが、簡単な教材を使うのをやめてエリート校と同じ文学作品を扱うようにしたところ、教材の難しさにもかかわらず逆により多くの生徒達が興味を持ってきたという。目標を高くすれば高く飛べるようになるのが人間なのだ。
恐ろしいのは多くの学校で昔ながらの教育方法(厳しくいろいろ暗記させる方法)の採用が禁止されてたくさんの問題児を産んだ一方で一部の有名校(高級住宅地区にある公立学校や一般人には払えないような授業料を取る私立の学校など)では昔ながらの教育方法を続けて差を付け続けた、という事実だ。
他にもフランスの教育カリキュラムを知っている人ならば思わずうなずいてしまう項目が続く。
結論として言えるのは、現在フランスで教育を受けさせている場合は親が家庭で子供にたくさん文学作品を読ませ、書き取りをさせ、九九の暗記をさせるのが必須だということ。なんのために学校があるのだかまったくわからない。
2006年2月20日追記。デンマークではエリートばやりということ。エリートの教育を大きな声で言えるだけフランスよりだいぶましか。
コメント(6)| Track back(0) | 2006年02月17日
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