2003年の猛暑時に老人を中心に多数の死者を出したフランスではそれを教訓に老人関係費用を賄うためにどうしたら国民から集金できるかを考えた。そこで出てきたのが「祝日を1日減らし、この日の労働分は国に老人関係費用として収める」という案である。減らされる祝日の日は基本的に5月16日の精霊降臨祭の月曜日ということにだいぶ前から発表されていた。
しかしここに来てこの措置への反対の声が大きくなってきた。ある調査機関によると国民の66パーセントがこの措置に反対しているのだそうだ。
この日にストを予定している労働組合もある。フランス国鉄SNCFは既にこの日を祝日扱いすることを決定した。また、基本的に公務員はこの日は出勤日となるはずなのだがそれも市町村や組織によっては祝日にしようという動きも出ている。教員達の中からも「5月16日には子供を登校させないように」という声が出始めている。
反対理由として「政府が国民に無償労働を強制するのは個人の自由の侵害だ」「こんな措置は混乱を起こすだけ」などがあげられているが、つまるところ、無償で1日働くなんてごめん、ということである。
参考記事がここにあるのだが、その下の方の読者のコメント欄がおもしろい。ニュースなどの一般報道ではとかく「反対」の声が多く聞かれるのだが、コメントではそうでない意見も見られる。たとえば、
−組合はこの日にストをする、と言っているがストの日=非労働日(バカンス)として考えているのは興味深い。
−今、「ヨーロッパ憲法には強者が弱者を助けるという社会保障システムが十分でない」という理由で反対を叫ぶ同じ人達が老人関係費用捻出のために自分の休暇が1日減らされるのを断固拒否しているのは矛盾ではないか。
−フランス人は5月16日だけでなく、どの日も働く気がない。が、飛行機で1時間も飛んだ場所では非常に労働意欲の高い人達がたくさんいる。フランスの工場がすべてそれらの場所に移転されてから気づくのでは遅いのだ。
−働かざるものに待っているのは貧困と空腹だ。
−2003年に老人がたくさん亡くなった時には皆が政府が何もしなかったことを批判した。そして「連帯の日」が提案され、皆その時は反対しなかった。今その実行を前にして「休暇を減らすなんて」と多数の人が反対しているのは不思議だ。
−フランス人は労働というものを忘れてしまった。フランス人は過去の既得権にしがみついているが、周りの世界はどんどん変化している。その変化に柔軟に応じられないようではある日フランスは「過去の国」となってしまうであろう。
もちろん反対意見もある。
−働くからには給料をもらうのは当然だ。もらえないなら働かない。
−連帯の日を実施して集められたお金が本当に老人のために使われるかどうか疑わしいので反対。
−働くか働かないかは個人の自由に任せるべきだと思う。
−連帯の日が適用されるのはサラリーマンだけ。自由業の人には適用されない。またしても同じ人間から金をしぼりとるのか。
など、こちらも一理あるといえばある。
一日多く働くことがそこまで激しい反感を買うとはさすがフランスである。
コメント(2)| Track back(0) | 2005年04月22日
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